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Hitachi

歯車の設計製作

当社が製作する大形のマリンギアでは質量が100トン、伝達動力25,000kWのものもあり、最適な荷重伝達がなされるよう歯車を設計しています。この大形歯車の加工は最新鋭高精度歯車研削盤で行い、加工と同時に必要とする歯形形状を研削盤上で確認しています。
また、まがり歯かさ歯車は、独クリンゲルンベルグ社により開発されたCBNカッタにより超硬仕上げを行うクリンゲルンベルグ式等高歯車を使用しており、終減速機や縦軸推進装置用減速機に採用しています。
この歯車は、歯車かみあい理論上良好な歯当たりが得られる特長に加えて、高精度に加工されるため低騒音と低振動を実現し、歯車周速60m/sec.を越える直交歯車の設計製作の実績があります。
歯車は変速機の重要な機械要素であり、更なる改良に向けた研究が行われています。

ハイブリッドアクティブシフトトランスミッション(以下、HASTドライブ*という)

自動車で採用されているハイブリッドシステムを鉄道に適用するため、北海道旅客鉄道(株)殿と共同で開発しました。HASTドライブは、高効率なアクティブシフト変速機とモータを組み合わせています。
鉄道の場合は、運転パターンを予測可能なことからハイブリッドシステムのメリットを自動車以上に発揮できる効率的なエネルギー管理を行えます。更に、駅構内ではモータのみを使用するため、駅騒音を低減できるメリットもあります。従来技術では実現できない高いレベルでの動力性能と環境性能の両立を可能にしています。
HASTドライブを搭載した“ディーゼル・電動パラレルハイブリッド鉄道車両の開発”が世界鉄道研究会議2008で最優秀論文賞を、2009年に第36回環境賞の優良賞を受賞しています。

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HASTドライブは当社のハイブリッドアクティブシフトトランスミッションの登録商標です。

スリッピングクラッチ

湿式多板油圧クラッチを滑らせた状態で使用するもので、動力伝達状態においてクラッチ摩擦板の結合度合い(スリップ率)を制御して必要とする回転速度(無段変速制御、一定速度制御、微速制御、制動制御等)を得るオメガクラッチやCSU(発電機駆動用定速回転装置)と、クラッチ摩擦板の使い分けによって摩擦係数を管理し、設定値以上の負荷が作用した場合にはクラッチを滑らせて使用するトルクリミッタ内蔵型減速機があります。

円すい形インボリュート歯車(コニカルギヤ)

円すい形インボリュート歯車(コニカルギヤ)を食い違い軸歯車として使用した場合、一対の歯面間の接触は理論的に点接触であり、線接触をして噛み合う平歯車やかさ歯車に比べると歯面強度が低いという問題がありました。
当社では、山形大学と共同でこの問題の解決に取り組み、歯面間の接触を線接触に近づける技術を確立し出力軸に傾斜を与えたコニカルドライブ形マリンギア(MGNV形)として数多くの納入実績があります。
この円すい形インボリュート歯車は舶用変速機に限らず色々な用途に適用可能で、エスカレータ用減速機などにも採用されています。

遊星歯車装置の荷重等配機構

遊星歯車装置は、一つの歯車(サンギア)の周囲に複数の歯車(プラネットギア)が同時に噛み合った状態で動力を伝達する構造になっており、動力を複数の歯車に分割して伝達することによって小型軽量化を可能にしています。
このため、遊星歯車装置においては、複数の歯車に均等に動力を分割させる荷重等配機構は重要な要素となっています。
当社では、一部の用途を除き、この荷重等配機構として遊星歯車の支持軸を片持ち梁とした独特のフレキシブルピン方式を採用し、小型・軽量化をはかっています。